AI音声認識の活用事例3選!システムの仕組みやコールセンターに導入するメリットを解説

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著しいデジタル技術の発展により、さまざまな場面でAIが活用されるようになりました。なかでもAI音声認識サービスは人の声をテキスト化できる技術で、ビジネスシーンにおいて業務効率化などを目的に利用されています。

そこで今回の記事ではAI音声認識サービスの仕組みや活用事例を紹介し、コールセンターに導入するメリットとサービス選定のポイントを解説します。AI音声認識サービスの導入を検討している企業の方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

AIによる音声認識とは「音声をテキストデータ化」する技術 

音声認識とは、人の発話を解析してテキストデータ化する技術です。キーボードで入力するより速く、誤入力の少ないテキストデータ化の方法です。音声認識にAIが搭載されたことにより、深層学習が加わり精度の高いテキストデータ化が実現しました。ビジネスシーンにおけるAI音声認識システムの活用の幅は広く、工場や医療現場など多種多様な業種・業務で導入が進んでいます。

またビジネスシーンだけでなく家庭向けの機器にも導入が進んでおり、生活をより便利にしてくれる技術として注目されています。言葉で指示するだけで済むので、料理中など手が離せない状況でも容易に音楽の再生やインターネット検索などが可能になり大変便利です。

音声認識システムの4つの仕組み

音声認識は、以下の4つの仕組みで成り立っています。

  • 音響分析
  • 音響モデル
  • パターンマッチ
  • 言語モデル

コンピューターが音声を認識するためには、音の分析や言語への変換などさまざまな加工作業が必要です。ここでは。音声認識システムの仕組みである4つの要素について解説します。

音響分析

音響分析とは、音声を分析してコンピューターが認識できるデータに変換することです。マイクを通して入力された音声の周波数や音の強弱など、さまざまな要素を抽出して変換します。人は音声以外の雑音があっても聞き取れますが、コンピューターはそのままでは認識できない場合があります。そのため、コンピューターが認識できるデータに加工する作業が必要です。

音響モデル

音響分析によってデータ化した音声を蓄積した学習データと照らし合わせ、音の区切りである「音素」を抽出する作業です。音素とは、音声の違いに関わる最小構成要素です。音声の違いを見分けるための要素であるため、同じ音として認識されるものは省略されます。そのため、言語によって音素の構成要素は異なります。日本語の音素要素は、以下のとおりです。

  • 母音(あいうえお)
  • 子音(23種類)
  • 擬音(ん)

例えば「おはよう」は「o-h-a-y-o-u」となり、1文字ずつのアルファベットが音素となります。コンピューターが持つデータと入力された音声を照合し、特徴の近い音素を見つけて出力します。

パターンマッチ

パターンマッチとは、音響モデルによって出力された音素を意味のある「言語」に変換する作業です。音響モデルの段階では、アルファベットが羅列されただけの状態であるため言語として認識できていません。そのため、パターンマッチで単語と発音が一緒に登録されている「発音辞書」を用いて言語にする作業が行われます。出力された音素を発音辞書にある単語と照合することで、意味のある言語として認識できます。

言語モデル

言語モデルでは、意味のある単語をつなげ合わせて正確な文章へと整えていきます。パターンマッチの段階では、それぞれの単語が並んだ状態であるため文章としては成り立っていません。単語のつながりの確立を算出し、次に来る言語を予測して文章を組み立てていくのが言語モデルの役割です。確立を定義するモデルには「隠れマルコフモデル」と「N-garmモデル」があります。AI音声認識は、音響分析から言語モデルまでの経過を辿って1つの文章として音声を認識しています。

AI音声認識システムの活用事例3選

デジタル技術が進歩した現代では、AI活用が盛んに行われています。AI音声認識システムは、ビジネスシーンにおいても業務効率化や顧客の満足度向上などを目的に積極的に活用されています。ここでは3つの事例を参考にAI音声認識システムの活用方法を紹介しますので、業務利用を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

会議の議事録作成

これまではボイスレコーダーなどで録音し、手入力で文字起こしをおこない、議事録を作成してきました。人の手による文字起こし作業は時間がかかる上、入力ミスも発生しやすい問題があります。

そこでAI音声認識を活用することで、会議や打ち合わせなどで必要な議事録作成にかかる手間を省けます。AI音声認識を利用した議事録作成ツールには、音声をテキスト化するだけでなくさまざまな便利機能が搭載されているのが特徴です。主な機能は、以下のとおりです。

  • 音声を聞き分けて「発言者」を区別する
  • 不要ワードの自動削除
  • 頻度の多いワードの特定し会話を分析する
  • テキストと音声の紐づけ保存
  • 日本語以外の言語に対応(同時通訳と字幕表示が可能)

音声認識の精度は年々向上しており、会議の議事録や講義内容の記録などに活用されています。

通話データのテキスト化と電話対応の自動化

コールセンターではクレーム対応や顧客分析のため、お客さまとの通話内容を記録する作業を行っています。通話内容はより詳細に残すことが望ましいですが、電話終了後にオペレーターが手入力する方法では時間がかかる上、記載漏れが発生する可能性が高いです。そこでAI音声認識システムにより通話データをテキスト化し、全社員への共有やマーケティングに活用しています。

AI音声認識により通話内容をテキスト化することで、手間をかけずに詳細なデータを残せます。またテキストデータであれば、キーワード検索などを使って知りたい情報をすぐ見つけられるので、録音データで保管するより有用です。さらに音声認識は、テキスト化だけでなく音声への対応も可能です。音声に対応するサービスであるボイスボットにより、電話対応の自動化も進んでいます。

音声によるカルテの自動入力

医療現場においては、紙カルテから電子カルテへの転換が進んでいます。しかし、医療従事者の中にはパソコンなど電子機器の扱いに慣れない人もいるでしょう。パソコンに不慣れな方はカルテ記載に時間がかかり、診療に支障をきたしています。

そこでAI音声認識を活用し、音声によるカルテ自動入力を行うことでスムーズな診療が可能です。また電子カルテへの移行の際、膨大な量の患者情報を入力しなければなりません。AI音声認識があれば、入力の手間が省けるので効率良く電子カルテに移行できます。

AI音声認識サービスをコールセンターに導入するメリット3選

音声認識サービスをコールセンターに導入することで、以下のようなメリットが得られます。

  • 業務効率化
  • 応対品質の向上
  • コンプライアンスの強化

コールセンターは非コア業務でありながら、顧客満足度に影響を及ぼす重要な部門です。業務効率化を図り、応対品質の向上が期待できるAI音声認識サービスは、コールセンター業務に大きなメリットを与えてくれます。

業務効率化

コールセンターでは、電話のつながりにくさが顧客満足度に影響します。1件あたりにかかる処理時間の長さは通話時間だけでなく、対応記録を残すための後処理時間が含まれています。AI音声認識サービスであれば自動でテキスト化されるので、オペレーターが通話に集中でき、対応件数を増やせるでしょう。

さらにAI音声認識を利用した「ボイスボット」により、問い合わせに対する自動対応が可能です。ボイスボットでは顧客の困りごとをAIが聞き取り、簡易な問い合わせへの回答や適切な担当者への割り振りをおこないます。現在はAI音声認識システムだけで問い合わせ対応を完結できるサービスも増えており、コールセンターの人材不足解消や業務効率化に貢献しています。

次世代型コンタクトセンター

AI音声応答サービス(ボイスボット)

応対品質の向上

コールセンターは直接顧客と接するので、電話応対の質が満足度に大きな影響を与えます。しかし経験値の違いで応対品質に差が出てしまうため、新人オペレーターでも高品質な電話応対ができる仕組みを作ることが大切です。オペレーターの応対品質を向上させるためには、精度の高いマニュアルやトークスクリプトが欠かせません。

そこでAI音声認識サービスを使って経験豊富なオペレーターの通話内容をテキスト化し、理想のトークスクリプトを作成することで新人オペレーターでも質の高い電話応対スキルを身に付けられます。AI音声認識サービスで作ったトークスクリプトを活用することで、実務に近い形での新人研修やオペレーター教育を行えます。AI音声認識サービスは、充実した教育体制を整えるための手段としても効果的です。

コンプライアンスの強化

コールセンターではコンプライアンスを遵守するために、責任者であるスーパーバイザーが定期的にオペレーターの通話内容を確認します。その際は、録音した通話内容を最初からすべて聞かなければなりません。そこで、音声をテキスト化できるAI音声認識サービスが役立ちます。

テキストデータであれば、ワード検索などによってNGワードやコンプライアンスに反する言葉を素早く見つけられます。AI音声認識サービスを活用することで効率の良さと確実性が高まり、今まで以上にコンプライアンスの強化が可能です。

コールセンターにAI音声認識サービスを導入する際の3つのポイント

コールセンターにAI音声認識サービスを導入することで、業務の効率化や高品質な電話対応の実現などさまざまなメリットが得られます。しかしサービスによってAI音声認識の精度や機能が異なるので、導入する際は以下の3つのポイントを押さえて選びましょう。

  • 認識精度
  • 分析機能
  • セキュリティ

AI音声認識サービスのメリットを十分に得るための重要なポイントとなるので、導入を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

認識精度

AI音声認識の精度は、周囲の雑音や声の大きさに影響されます。雑音の入らない環境であれば認識率は高くなりますが、屋外や人が多い場所などでは正確に聞き取れない場合があります。そのためAI音声認識サービスを導入する際は、実際の利用環境での認識精度を測定した上で検討することが大切です。

また、学習機能であるチューニングも認識精度に影響を与えています。国語辞典などに掲載されている一般的な言葉は辞書登録されていますが、業界用語など特殊な言語は学習させなければなりません。自動学習機能が付いているツールであれば、手間もかからず精度を向上できるのでおすすめです。

分析機能

顧客から日々多くの電話を受けるコールセンターには、膨大な量の情報が蓄積されます。AI音声認識によってテキスト化した後は、データを分析して事業に活用することが大切です。分析機能はAI音声認識サービスによって内容が異なるため、自社の課題解決に必要な機能が搭載されたものを選びましょう。

分析機能が充実したAI音声認識サービスであれば、目的に応じて必要なデータを効率良く収集し、迅速な業務改善が可能です。

セキュリティ

コールセンターは顧客情報を取り扱うため、セキュリティ面が強化された安全なAI音声認識サービスを選ぶことが大切です。オンプレミス型のAI音声認識サービスであれば、外部とのつながりがないため高い安全性が期待できます。しかし、費用が高額になることと運用に関するすべてを自社で行わなければならない点がデメリットです。

現在はアクセス制限や通話データの自動削除など、クラウド型でもセキュリティ対策が強化された安全性の高いAI音声認識サービスが提供されています。自社のセキュリティ基準と照合し、安心して利用できるAI音声認識サービスを選びましょう。

まとめ

音声認識とは、人の発話を解析してテキストデータ化する技術です。AIを利用した音声認識は、深層学習を行うためより精度の高いテキスト化が可能となりました。精度が向上したAI音声認識は、ビジネスシーンや医療現場などさまざまな業種・業務で活用されています。なかでもコールセンターにおけるAI音声認識の活用は、業務効率化や応対品質の向上など課題解決につながる効果が期待されています。

NTTネクシアでは、AI音声認識にチャットボットや音声合成などの機能を加えて、テキスト化だけでなく認識した音声に対して自動で応答する「AI音声応答サービス(ボイスボット)」を提供しています。そのほか、人材不足や顧客満足度に問題を抱えている企業さまに向けて、デジタルチャネルを活用した「次世代型コンタクトセンター」の構築が可能です。電話対応の効率化などコールセンター運営における課題を抱えている企業さまは、ぜひ「NTTネクシア」へご相談ください。

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